05-06 Players tracks 「1.吉原慎也」
不動心。吉原慎也はオフィシャルサイトに掲載する座右の銘に、動かされない、強い意思を意味する言葉を選んだ。守護神として川崎を支えるための努力を誓った。
昨シーズンの天皇杯から下川誠吾を起用していた関塚監督は、開幕5戦13失点の惨状から抜け出すために、4月9日のJ1第4節対東京V戦でゼッケン1番を等々力に呼び戻した。同時に谷口を抜擢し、チームに今シーズンの初勝利をもたらした。
吉原はゲーム後に「僕にとっては開幕戦」と切り出し、完封の理由を「いつか自分の出番が来るだろうと信じてしっかりと準備をしていた」と述べた。97年に横浜に入団したものの、J1でのゲーム数はこれまでのキャリアでゼロ。03年、04年を川崎の守護神として過ごしてきた実績を信じ、まさに不動心を貫くことで、J1初出場を記録し、レギュラーを取り返した。
ところが、プレイタイムは990分間に限られた。6月4日のナビスコカップ・グループリーグ第5節対東京V戦で抜擢された相澤貴志が指揮官の信頼を勝ち取り、その後もゴールマウスの前に立ち続けたからだ。
川崎はJ1で表現すべきフットボールを見つけつつあった。屈強な3枚をディフェンディングゾーンに置き、バイタルエリアを谷口に任せることで、ディフェンスが安定。これらの個性を活かすためにリトリートディフェンスを優先し、ジュニーニョを中心としたカウンターアタックを特徴とした。つまり、キーパーとバックラインの距離感は近く、ハイボールに強い190cmキーパーが起用されることは極めて自然な判断だった。
スピードで勝負する吉原にとって、夏場は不安定な時期となった。Bチームの一員としてプレイした紅白戦で大量失点を奪われ、怒りのあまりに吠えたあと、ボールの上に座り込んでしまうこともあったほどだ。
結局、ファイナルマッチの天皇杯クオーターファイナルまで機会は訪れなかった。そして、関塚監督の契約延長が決まり、来シーズンも困難が待つに違いない。
それでも、不動心を保ち、J1出場を記録した05年をポジティヴに捉え、プレシーズンでアピールしなければならない。秋になって不安定なパフォーマンスを見せた相澤が06年に1年間の安定を証明する確信はなく、生き物であるチームが変化を遂げることも考えられる。
27歳の吉原の身長が伸びることはない。課題であるキックの精度を高め、さらに技術を磨くことで、その時に訪れたチャンスを掴まなければならない。
Text by H.Nishikawa.(Wednesday, 4 January, 2006, 19:30)
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