米山篤志がもたらすもの
東京Vを構想外となっていた米山篤志は、来シーズンの舞台を等々力へ移すことにしたようだ。26日、複数のメディアは元A代表センターバックが川崎へ入団する見込みだと報じた。
この話が正式決定となれば、川崎はオフシーズンに存在したテーマのひとつをクリアしたことになる。麻生でAチームの座を独占する不動の3名に大きな危機感を与え、スペアとしても力の劣らない人材が欲しかったところだ。パワープレイ要員として機能する佐原は、対人動作で脆い面を持ち、スターターとして出場したゲームの中にも好不調の波を見せ、レギュラーを掴むには不安定なレベルにあることを証明してきた。
ストロングポイントのバックラインは、実績ある競争相手を新たに獲得することで、緊急事態の備えを万全にすることになる。つまり、急を要していないポジションにおいて、移籍金のかからないトライアウト組から年俸3000万円以下の適切な人材を補強することは、まさに効率的である。
自身の抱負でもあった3060分間の出場を記録した伊藤、左耳突発性難聴に襲われた箕輪、2度の左ハムストリングの肉離れに苦しんだ寺田。このように、3名が揃う保証はどこにもない。
川崎は在日枠を埋めていたヨンデとのローン移籍契約を延長せずに、フォワードラインの活性化を目論んで朝鮮大学のチョン・デセを獲得したことで、少なくとも、全日程の3分の1を見事に消化できる4人目のセンターバックを求めなければならなかった。
東京Vのレギュラーとして今シーズンを過ごした米山は、J1で23ゲーム1728分間、ナビスコカップ・グループリーグで2ゲーム180分間の出場を記録し、3枚のイエローカードを受けた。キャリアのピークが過ぎ、両膝の故障に悩まされ、トゥルシエ監督から召集されていた頃の輝きを失っている。対人動作での激しさに衰えが見え始め、フェアプレイのスタイルから淡白なディフェンスを強いられてきた。
それでも、キックの精度は高く、30メートル以上もの弾道を正確に蹴ることができる。関塚監督が重要視するビルドアップで機能し、フィードボールによる展開とロングレンジからのフリーキックを武器に、麻生でアピールを続けるはず。フィジカルコーチのマルセロとフィジオセラピストのフレッジは、結婚1年目のシーズンを送る新戦力を再生させなければならない。
右のセンターバックが希望のポジションだが、そこにはハードマンがそびえる。おそらく、伊藤がリベロに移った際に、左のセンターバックとして機会が訪れるだろう。これで、柔軟性のある寺田が谷口に刺激を与えることができる。また、指揮官が4バックを選択するようであれば、熾烈なポジション争いのスパイスとなる。なお、パワープレイにおいては、岡山と佐原を攻守に区別して専念させることも可能となる。
この効果的補強を成功させ、不動の3名の放出を阻止したのなら、ディフェンディングゾーンがたちまち活性化されるに違いない。
Text by H.Nishikawa.(Monday, 26 December, 2005, 20:30)

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