05 Play-off 1st 甲府 v 柏 Highlight
上々のスタートだった。開始30秒で山本がスペースを狙ったフィードを送り、石原がクロスを射る。藤田、倉貫がミドルゾーンでリズムを創り、フォワードラインがランニングを重ね、流動的布陣を形成する。甲府らしいフットボールが披露されていた。
それは、ゴールラインで見渡していた南が「出だしから良くなかった」と感じるほどだった。柏はポゼッションを譲り、波戸が「どちらがJ1なのか分からなかった。あれだけ繋がれてしまったら駄目」とした通り、支配される進行を余儀なくされた。
「あの1点で逆に肩の荷が下りたような感じだった」
大木監督は失点をポジティヴに捉え、目前のゲームに手応えを感じていた
11分に大野による鋭いフリーキックをレイナウドがヘッドで合わせ、阿部の頭上を貫いた。「受けて立つ柏」と「挑む甲府」の構図は鮮明となり、早野監督は「精神的にもっと戦う気持ちで、相手より運動量を多くしないと」と後悔することになる。
藤田や倉貫、長谷川はもちろん、ライトバックの山本までもがボックス内に姿を現し、次々とチャンスに絡む。アグレッシヴなアタックに、柏のディフェンディングゾーンは混乱を続けた。
ついに25分、アライールによるファーサイドへのクロスをプルアウェイで逃げたバレーが折り返し、倉貫が身体を投げ出して押し込む。4日に第一子の長男が生まれた倉貫はチームメイトたちとゆりかごダンスを踊った。
スコアが1-1となり、双方はネクストゴールを強く求めていた。
柏が失点直後にセットプレイを連続させれば、そのアタックを断ち切ったバレーがドリブルで前進し、長谷川からのクロスにあと一歩のところまで迫る。すると、矢野とのワンツーパスでボックスに侵入した谷澤がトリッキーなフィニッシュを見せる。32分にレイナウドによるグラウンダーのクロスを矢野が詰め切れず、5分後に長谷川が左足でのシュートをオフターゲットとする。アディッショナルタイムには、バーストランニングを仕掛けた藤田をオトリに使い、バレーが強烈なミドルシュートを放った。
そして、ネクストゴールはハーフタイム後の48分に記録される。
2ndハーフで攻勢のスタートを切った甲府は粘り強く押し込み、敵選手たちをボックス内に釘付けにすると、矢継ぎ早にシュートを打ち、最後はボックス内を横断した倉貫のスクエアパスをバレーがワンタッチで右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。
2-1。ビハインドを負った柏は、これを最低限の結果とすることは出来なかった。アウェイゴールシステムが採用されないレギュレーションにおいて、2-2を目指すしかなかった。
ところが、大野とレイナウドがバイタルエリアでワンツーパスを試み、有利なルーズボールから谷澤が放った強烈なフィニッシュが阿部に阻まれ、直後に秋本を振り切ったレイナウドがワンオンワンを外す。甲府は次第に守勢でのリアクションを覚え、ゲームをコントロールし始めた。
両指揮官は、ベンチワークを施す。
58分に増田と小林亮を入れ換えていた早野監督は、71分に小林祐と宇野沢、84分に谷澤とイ・チュンソンを替え、3-4-3の布陣を採用。普段通りのプランを遂行する大木監督は、72分に石原と須藤、74分に限界を迎えたアライールと津田を入れ換えた。
双方が勝利のプロセスを策したラストシーンでは、ふたつのハプニングが起こる。
まず、86分に小林亮によるクロスからのディフレクションを山本が足でクリアし、阿部が手で掴む。これまで厳しい正当な競り合いでプレイオンを選択していた柏原主審は、ボックス内での間接フリーキックを柏に贈った。甲府の選手たちが築いた壁にレイナウドのインステップシュートは弾かれたが、ジャッジミスだった。
そして、アディッショナルタイムに入り、矢野がボックス内で倒されファウルコールを待とうとした瞬間、停電によって小瀬は闇に覆われた。約35分間の中断を経て、レフリーのドロップボールによってリスタートを切ったことは、柏にとって極めてアンラッキーだった。
結局、全体を通じて内容で上回った甲府が2-1でファーストレグを制した。
「これで終わりなら、家に帰って酒でも飲んで寝たいが」と素直に語った大木監督と、「メンタル的には、柏が追い込まれた」と素直に認める早野監督。甲府はわずかなリードを日立台に持ち込み、初のJ1昇格を賭けることになった。
甲府:阿部、青葉、秋本、アライール(→津田)、山本、奈須、倉貫、藤田、長谷川、バレー、石原(→須藤)。
柏:南、永田、波戸、土屋、増田(→小林亮)、大谷、小林祐(→宇野沢)、谷澤(→イ・チュンソン)、矢野、レイナウド。
Text by H.Nishikawa.(Thursday, 8 December, 2005, 25:50)

Comments