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Blue Players 伊藤宏樹 「リーダーとして」

 川崎を知る解説者やチームスタッフは口を揃え、伊藤宏樹を日本A代表級の選手だと高く評価する。
 入団当初から優れたフィジカルを武器にレギュラーを掴み、着々と経験を積んでいく。石崎監督に率いられた03シーズンでは、3バックの左ストッパーとして定着し、スマートにボールを取る技術に加え、厳しさが増していった。
 そして、04シーズンから就任した関塚監督の下でリーダーシップを磨き、J1復帰1年目のキャプテンを任された。プレシーズンで「そんな柄ではない」と苦笑いしたが、小中学生時代はキャプテンを、新居浜工業高校と立命館大学ではサブキャプテンを務めた。
 「練習からみんなの手本になれば良い」と語った27歳のセンターバックは、穏やかな性格でチームメイトを惹きつけ、確かなプレイでファンの信頼を得ている。
 
 29戦2610分出場。
 心から楽しみにしていたJ1での戦いにおいて、伊藤はチームで唯一のフル出場を記録している。
 03シーズンでは左膝内側側副靭帯損傷を負い、04シーズンでは外傷性気胸と右足挫滅創を負い、どちらも10戦前後を断念していた。その悔しさを晴らすように、今シーズンは麻生で頭部に包帯を巻いたり、足を強く打ったりしたことはあったが、今年の抱負である「怪我をしないこと」を実行し、対戦する面々の上手さに驚きながら、それらとの力比べを楽しんできた。
 一方、「どの試合も紙一重」とした通り、内容と結果が一致しない現実に苦悩もした。「ディフェンスがもっとしっかりすれば上にいけるんじゃないか」と責任を感じた。
 川崎はそのわずかなズレを埋めるために、2度のインターバルでトレーニングキャンプを行ない、後期には良い内容から6連勝を飾ってみせた。自身は第14節以降イエローカードを受けず、安定したディフェンスの原動力となった。
 アウグストの背後を巧みにカバーし、スムースなビルドアップを忠実にこなしてきた。そして、寺田の欠場によってデビュー当初に与えられたリベロに配され、「カバーリングも1対1も強いマルチタイプ」を目指す日々を送っている。
 
 ただし、課題は明らかだ。ラインコントロールにおいて、オフサイドラインを操り敵を嘲笑う余裕は、まだ見られない。
 ミドルゾーンで敵がマイボールを所持すると、伊藤は敵フォワードに対して身体ひとり分ほどの間隔を保ち、「一枚余る」形を選択する。背後へのフィードを警戒するためだ。
 そこで、状況によっては積極的にラインブレイクを敢行し、前で取るイメージを体現するシーンが創れない。リトリート一辺倒だけでは、敵にチャレンジの意識を増幅させる。つまり、高いレベルにおけるディフェンスリーダーとしての駆け引きは、まだ発展途上にある。
 等々力のファンはハードマンの日本A代表選出の際に、「箕輪も良いけど宏樹もね」と口を揃えた。それは、課題を克服した時に叶うリクエストなのかもしれない。
 
 Text by H.Nishikawa.(Monday, 7 November, 2005, 7:10)

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