J1第22節 清水 v 川崎 「後悔」 Highlight
例の病気が再発したようだった。たしか、3月に苦しんだ、あの持病である。
確信したはずのスリーポイントは、するりと手からこぼれ落ちていった。
ビハインドを負った長谷川監督は、73分に澤登と北嶋を同時に投入し、「彼らを投入した残り15分に全てを懸けた」という。対する関塚監督は78分に佐原を送り出し、「相手が3トップでハイボールで攻めてきたので、寺田を余らせながら4枚を並べた」という。
清水のパワープレイに対抗する手段であり、勝利の方程式であるベンチワークは、完全に失敗した。
82分に、澤登のスルーパスを杉山がボックス内へ持ち込み、相澤とのワンオンワンを制して2-2。なおも畳み掛けるホームチームは、88分のコーナーキックのセカンドアタックにおいて、兵働のクロスをファーで高木和が合わせて3-2と逆転。
ジュニーニョがすぐにキックオフを求めたことも空しく、清水はコーナーフラッグ付近で時間を消費する常套手段によって、逃げ切るだけだった。
ラスト15分までの川崎は、実力の差を証明するかのような内容を見せていた。
スクエアボールはスムースに連鎖し、チャレンジのパスのタイミングを見逃さないことで、終始、イニティアシヴを握り続ける。つまり、重要視するビルドアップは成功していた。
おかげでジュニーニョは、センターバックの前方でパスを受けた後、得意のランウィズザボールで強烈なアクセントを与えた。対人動作で劣る斉藤と高木和は、イエローカードを記録せざるを得なかった。
そして、中村の展開力は存分に発揮され、清水はリトリートするしかなかった。
時間の問題だった先制ゴールは、22分。マルクスのスルーパスをジュニーニョがコントロールし、飛び出した西部をあっさりかわしてのゴールだった。
その2分前に、我那覇のダイアゴナルランに箕輪がフィードを送っており、持ち味を発揮した時間帯で、川崎はきっちりとゴールを決めてみせた。
25分には、長橋のクロスを我那覇がスルーし、ジュニーニョがフィニッシュ。西部のフィストによって阻まれたが、指揮官が「我々の狙っているサッカーはできていた」と述べたように、川崎はフットボールの質で敵を圧倒していた。
それは、27分にマルキーニョスがフリーキックを決めたことも、「アンラッキー」や「リスタートの課題」といった表現でとりあえずは片付け、箕輪が「良い形でボールを回せる時間も多かったし、向こうのカウンターに対してもすごく良い感じで守れていた」とした通り、ネクストゴールを期待させるレベルにあった。
清水はフォワードラインが停滞し、フィードの正確性を欠き、余裕の無いビルドアップを繰り返す、苦しい45分間を経ることになった。
パーフェクトに近い内容は、2ndハーフでも継続された。
49分に、ジュニーニョがバイタルエリアから長橋へ渡して、そのクロスをマルクスが詰めるアタックで挨拶すると、ネクストゴールは55分だった。
中村を経由したサイドチェンジで右から左へ揺さ振り、アウグストが焦ってスライディングで滑った市川をいとも簡単にかわし、鋭いアーリークロスを射て、デンジャーエリアに飛び込んできた我那覇が堂々と決めて、スコアを1-2とする。
その後も、70分頃まで攻勢に立った川崎は、完全にポゼッションを握り、清水をサンドバックとした。しかし、殴り続けたが、敵を倒すには至らなかった。
フットボールは、90分間のスポーツであり、内容の判定によって勝敗が分かれるスポーツではない。
双方のベンチワークによって、ゲーム内容は一変し、日本平の雰囲気は、騒然と、猛烈にホームチームを後押しし始める。
関塚監督によるベンチワークは、選手たちに臆病なリトリートを意識させ、清水は招かれるままに、ボックスへのチャレンジを連続させていった。
自陣へ敵選手を侵入させる時間帯が長いほど、失点の危険性は増幅していく。川崎はせめて、敵によるチャレンジを弾いた後に、それまで通りの様子でビルドアップを継続するか、クラッキの足下へ正確なパスを預け、ふたりのセンターバックに2枚目のイエローカードを出させるように仕向けるべきだった。
しかし、3ゴール目を諦めた後、コンセプトが曖昧となって一方的劣勢を強いられ、まるで非情な運命に縛られたかのように敗戦を喫してしまった。
ただし、フットボールの内容は、今シーズンの最良を争うものだった。足りなかった点は、攻勢時におけるゴールの量産であり、劣勢時の戦略。明らかな課題は、「持病」の克服となるだろう。
それだけに、箕輪が「久しぶりにすごく悔しいゲームだった」と述べたことは、勝ちゲームを落としたことへの純粋な後悔を代弁している。
幸いにも、リーグにおける戦いでは、このような後悔は翌週に晴らすことができる。残留争いのためにも、正しい信念を貫き、課題の改善を意識しながら、この内容を持続させることが重要である。
川崎の、関塚監督のフットボールは、きっと正しいもの。
敗戦においても、それは証明されている。
Text by H.Nishikawa.(Saturday, 3 September, 2005, 26:10)

Comments
>TAKさん
こちらこそ、いつもお世話になっております。
強いて言えば、市川と佐藤にクロスを重ねられましたけど、危険なシーンには至っていませんでしたよね。
リーグ戦ですから、良い内容を敗戦によって忘れてしまうのは、非常にもったいない。対鹿島戦が楽しみですよ。
>T.Mさん
お久しぶりです。専門用語は「相変わらず」ですよ(笑) 独特の使い方もあると思いますので、読み手側で情報の取捨選択の判断をお願い致します。
光栄でございます。
さて、日本国外で、これほどまでに終盤に弱いチームは、残念ながら知りませんね。ゾーンプレスをやり始めた頃のフリューゲルスとは、質が違いますし。
単純な話は補強です。ただし、強化資金はJ1最低ですから、今年は厳しいでしょう。
一番の問題は、弾いた後のビルドアップにあるんじゃないですかね。それまでは落ち着いて横に繋げるシーンでも、精神的に押されると、焦って前方へチャレンジしてしまい、マイボールを失うことで、波状攻撃を受ける。これでは守れませんよね。バックラインがボックスに張りついたまま、猛攻を受け続けるわけですから。
この「持病」については、今週中にビデオを見直してみるつもりです。
今シーズンは現有戦力で経験を積んでいって、もし駄目なら、新戦力しかないと思います。
Posted by: H.Nishikawa | 2005.09.05 at 22:32
久々にコメント差し上げます。このブログのおかげでだいぶ専門用語を覚えましたよ。
Highlight読ませていただきましたが、私も管理人様とだいたい同様の印象です。しかし、あの時間帯になるとどうしても心理的に嫌な予感がしてしまいますね。両チームのベンチワークもそれを象徴しているかもしれません。
そこで、ご存知なら教えて欲しいのですが、海外含めて他にこういった勝ちきれないチームってご存知ですか?またそのチームはどうやって乗り切っていったのでしょう?
サポとしても嫌な予感がしてしまわないようにしたいもので。
Posted by: T.M | 2005.09.05 at 18:43
負け犬の遠吠え
Posted by: | 2005.09.04 at 18:58
お世話になります。
現地に行きましたが奪ったゴールの形と言いゲーム内容としては今季の中でも素晴らしいものでしたし終了15分前まではマルキーニョスのフリーキック以外はチャンスらしいチャンスは与えていなかっただけに残念でしたね。
このゲームを落としてしまった悔しさを次節、ぶつけて欲しいです。
Posted by: TAK | 2005.09.04 at 02:49