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Blue Players JUNINHO 「craque(クラッキ)として」

 寒気を振り払ったクラッキのゴールによって、川崎は5年振りのJ1をスタートさせた。
 待ちに待った日立台でのオープニングゲームは、20本あまりの被シュートを許し、78分に山下にゴールを奪われたまま、ホームチームの勝利を予感させていた。
 気温は5度。「FOOTBALL TOGETHER」の文字が入ったお洒落なニットマフラーをしていても、敗戦へ向かう進行に身体が冷えた。
 それでも、関塚監督は80分に飯尾を投入し、明確な意思を表明。選手たちは最後までゴールを目指し、攻めた。そして、衝撃はクライマックスに走った。アウグストが粘り強く折り返し、フリーのジュニーニョが蹴り込む。同点。
 オフには、レアル・ベティスのオファーを断っていた。クラブへの忠誠心を誓うように、ジュニーニョは川崎のファンの前でエンブレムを抑えていた。
 
 神戸遠征で負った右ハムストリング損傷が癒え、他チームによる厳しいマークが繰り返されると、それまで短かったゴールの間隔は、延びていった。敵はジュニーニョを執ように注視し、川崎からポイントを奪っていく。
 しかし一方で、J1を勝つために練られた「セキヅカ・メソッド」が選手たちに浸透し始め、成熟の時を待っていた。
 二度目のインターバルを経た8月には、故障していたレギュラープレイヤー全員が戦列に戻り、従来の切れ味鋭いカウンターに加え、有効なビルドアップから適切なチャレンジを仕掛ける形が体現され、再開後の6戦で13ポイントを稼ぐことに成功したのだ。
 その間、ジュニーニョが奪ったゴールは、たったひとつ。ただし、それが記録された日本平遠征で「自分のゴールよりもチームの勝利が欲しかった」と悔やんだように、最大限の脅威を放ち続けてきた。
 川崎のクラッキは、今後も強烈なアクセントを発し、チームの上位進出に全力を注ぐに違いない。
 もちろん、ゴールを忘れはしないだろう。
 
 クラッキとは、ブラジルで「最上級の選手」や「名手」に与えられる称号だ。川崎でこの称号を名乗ることが出来る選手は、ただひとりだ。
 彼と川崎の関係は、2006年1月1日までは結ばれている。セレソン召集に繋がるベティスへの移籍を断念し結んだ単年契約は、今シーズン終了後に切れる。
 昨年、クラブはJ1定着のために、関塚監督とジュニーニョを残留させた。その判断が正しかったことは、すでに証明されている。おそらく今年の冬、クラッキの元には、川崎から契約更新のオファーが届くはずだ。
 あるいは、万が一の確率でジュニーニョが移籍した場合、クラッキ候補のフッキの活躍によって、彼は等々力最大級の思い出となるだろう。
 いずれにせよ、キャリアのピークにある川崎のクラッキをこの目に焼きつけるチャンスは、まだ残されている。等々力のファンは、彼が2006年1月1日にエンブレムを抑える姿を待っている。
 
 Text by H.Nishikawa.(Monday, 19 September, 2005, 21:50)

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